山西尊裕さん

サッカー選手/清水エスパルス所属
1976年4月2日生まれ。静岡県静岡市出身。
清水東高校卒業。1995年〜2004年までジェビロ磐田でプレー。2005年に清水エスパルスに移籍。現在、清水エスパルスでキャプテンを務める。ポジションDF
私の富士山の見方は、県外の方と少し違うところがあるかもしれません。私の生活してきたところでは、ほとんどの場所から富士山が見えました。そのため、富 士山はそこにあって当たり前の存在でした。家族のあいだで「今日の富士山は雲がかかっていたから、明日は雨だ」という会話が普通にされる。今考えると、そ ういうことも、静岡出身ならではです。ある意味、そのように富士山は、私の生活と一体化していました。そのため、富士山と自分との距離が近すぎて、富士山 の素晴らしさについて考える機会は、あまり多くありませんでした。
しかし、最近、富士山の不思議な魅力を、改めて感じることが多くなってきまし た。練習前や練習中に、富士山を見ると、なんだか力がもらえるなと思うことがよくあります。また、日本平スタジアムは、観客席から富士山がよく見えるよう にその眺めを遮る屋根をつくらないなど、スタジアムのつくりを特別にするほどです。富士山は、そこまでする価値のあるもので、多くの人の心を動かす存在な のではないでしょうか。
しかし、そんな富士山も、遠くからみると非常に素晴らしいものなのですが、実際に近くに行くと、ゴミが落ちている。遠くか ら見る富士山は、あんなにも美しいのに、非常に悲しいことだと思います。もちろん、世界遺産になると、多くの人が富士山に注目し、その存在を大事にしよう と考えるようになると思います。しかし、それでは、何だか、寂しい気がするのです。富士山は自分たちにとって素晴らしいものだから、自然と大事にしたいと 思うことが一番です。私は、静岡出身ですし、富士山が世界遺産になるとしたら、非常に喜ばしいことです。しかし、世界遺産になるかならないかに関わらず、 少しでも多くの人が、富士山を大切にしたいという気持ちを、心から持ってくれるようになれば、より素敵な富士山になるのではないかと思います。