富士山の謎と奇談
遠藤 秀明著
2007年 静岡新聞社 刊
50年以上に渡り富士山研究をしてきた筆者はその「とりつかれた」理由について
徳川家康が逃げ込んだとされる富士西麓の「人穴」の存在を挙げている。
なぜ富士山は富士山と呼ばれるのか?との謎から始まり、
富士山に棲むとされる天狗の正体や富士山の北麓に有史以前に
あったとされる帝都にまで縦横無尽に富士山の魅力を語り尽くす。
どれもまさに奇談に相応しい内容だが、
その中でも私のお気に入りは江ノ島の洞窟と富士山の洞窟が繋がっているという伝説である。
かつて江ノ島を間近に見る場所で暮らしていて、晴れた日などは江ノ島に散策に出かけるのを日課としていた。
そんな私にも江ノ島と富士山が繋がっているという噂は大変興味深いものであった。
確かに江ノ島に住む住人はそんな言い伝えをしており、酒の席でのネタのひとつだった。
ある日私は洞窟を覗きにいった。もちろん洞窟はすぐ行き止まりで富士山に繋がっている痕跡は
微塵も無かった。
しかし帰り道、江ノ島から相模湾越しに富士山が良く見えた。
それだけでその伝説のことは忘れてしまったことをこの本を読んで思い出した。