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秋の夜長富士山読書月間<その一>「富士山頂」新田次郎著

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タイトル

「富士山頂」

著者

新田次郎

発行

文春文庫刊(1974年刊)

 


残暑が厳しいとは言え、朝晩はすっかり秋の気配である。秋の楽しみ方は人それぞれだが、私はもっぱら読書。

この223マガジンでもこれまでに何冊か富士山関連の書籍を紹介させて頂いている。
今回の223マガジンから「秋の夜長富士山読書月間」と称し、連続10回に渡り富士山関連本を紹介したい。

私にとって、富士山 本と言えば、まず思い浮かぶのがこの本。
新田次郎著の「富士山頂」である。

富士山頂への気象レーダー建設という国家的事業を描いた物語である。
当時の記録など、史実を追いながらも、見事なドラマ仕立てに仕上げている。

富士山頂に気象レーダーが完成したのが1964年(昭和39年)。
新田次郎は昭和7年から41年まで中央気象台に勤務。
この小説は務めを辞めた後、執筆されている。
辞めるまでの間、年数回のペースで富士山観測所勤務を経験されており、
レーダー完成までの過程を、体験した本人でなければわからない感慨を持った作品として描いている。

物語はレーダー建設の資金を出す大蔵省、工事の主体者である気象庁、
そして工事を受注する建設会社という3つの立場の人たちが交錯しあう。
さらに富士山を生業とする地元の人たちを巻き込んで展開していく。

1年間で工事をできる期間は、7月と8月の2カ月間という時間との戦いも加わり、
まさに富士山に挑む人たちを描く冒険小説とも言える。
 

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