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ジョンの富士山

箱根に行く。
人は「箱根へ温泉に行く」と想像するのではないだろうか?
もちろん私も温泉が好きだ。しかし私にとって「箱根に行く」とは
すなわち「富士屋ホテルに行く」を指す。
もちろん定宿であるといったニュアンスではない。
宿泊するのは年に数回あればいいほう。大抵は他の日帰り温泉を楽しみ、
贔屓の蕎麦屋で昼からビールと蕎麦というのが定番。
しかしいずれの場合であっても富士屋に立ち寄らないことはない。

今更おさらいでもないが、富士屋ホテルとは神奈川県箱根町の宮ノ下温泉にある
1878年創業の老舗ホテルである。多くの著名人が宿泊し、その歴史に華を添えた。
その歴史の証人の一人にジョン・レノンがいる。
1980年、40歳の若さで凶弾に倒れたジョンが家族で富士屋ホテルを訪れたのは
1978年のことである。ジョンは息子ショーン・レノンの育児に専念していたが、
5年間の主夫生活を終え、遺作となった「ダブルファンタジー」を引っ提げてその年、
音楽業界に戻ってきた。その隠遁生活の最中、ここ富士屋ホテルを家族で訪ね、
写真のサインを残している。サインにはしっかり富士山が描かれている。

「Mt. Fuji by Lennon」である。
ジョンが見た富士山に、ジョンはどんなことを想ったのか?
今となっては知る由はない。今年ジョンが生きていれば77歳、先日はポールが来日し、
精力的なライブを披露したばかり、できればジョンの歌声を一度生で聞きたかったなあ。

撮影 本人

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