新井満さん

作家/作詞・作曲家
作家、作詞作曲家、写真家、環境映像プロデューサー、長野冬季オリンピック開閉会式イメージ監督など、多方面で活躍中。
1946年新潟市生まれ、上智大学法学部を卒業後、電通に入社。
在職中はチーフプロデューサーをつとめた。
小説家としては1988年『尋ね人の時間』で芥川賞を受賞。
2003年11月に発表した写真詩集『千の風になって』(ポニーキャニオン)は現在もロングセラーを続けている。
日本ペンクラブ常務理事として、平和と環境問題を担当。
著書多数。近著に『青春とは』(講談社)、『自由訳 般若心経』『自由訳イマジン』『自由訳 老子』(以上朝日新聞社)、『自由訳 十牛図』(四季社)、『ふるさとの山に向ひて』(NHK出版)、動物文学『朱鷺のキンちゃん空を飛ぶ』(理論社)、絵本詩集『この街で』(PHP研究所)、などがある。

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「マンダーランド通信」
私はある日、サムエル・ウルマンの名詩『Youth』の翻訳を依頼されました。しかしどのようにして翻訳すべきか随分と悩んでいた時期に、富士山を見て突 破口が開けました。『Youth』というポエムをあたかも、あの富士山が下界にいる私達人間に語っているように書けば良いのだな・・・と。
崇高な富士山を仰ぎ見ながら暮らすと、小さなことにくよくよしたり、思いわずらうのがばかばかしくなってきます。背筋がシャキッと伸びて、志を高く持てる感じがしてきます。富士山からインスピレーションをもらうことによって、青春の翻訳があっという間に完成しました。
それでは、私が翻訳しました青春の詩を紹介させていただきます。

  青春とは
  真の 青春とは
  若き 肉体のなかに あるのではなく
  若き 精神のなかにこそ ある
  薔薇色の頬 真赤な唇 しなやかな身体
  そういうものは たいした問題ではない
  問題にすべきは つよい意思 ゆたかな想像力 もえあがる情熱
  そういうものが あるか ないか
  こんこんと湧き出る 泉のように
  あなたの精神は 今日も新鮮だろうか
  いきいきしてるだろうか
  臆病な精神のなかに 青春は ない
  大いなる愛のために発揮される
  勇気と冒険心のなかにこそ 青春は ある
  臆病な二十歳がいる 既にして 老人
  勇気ある六十歳がいる
  青春のまっただなか
  年を重ねただけで 人は老いない
  夢を失ったとき はじめて老いる
  青春とは 真の 青春とは
  若き 肉体のなかに あるのではなく
  若き 精神のなかにこそ ある


私にとって富士山とは『永遠の青春』なのです。