みんなで知ろう

富士山の宿題

2016 世界遺産として、世界のお手本となるために

実は富士山には、2018年までにやるべき7つの宿題があります。

2016年1月、世界遺産登録時に宿題となっていた「保全状況報告書」がユネスコ世界遺産委員会についに提出されました。審議の結果、報告書は「ぜひ世界中のお手本としたい」との評価をいただき、富士山はさらなる宿題を出されました。それは、2018年12月までに文化的価値を守るためのさらなる具体策と、経過を報告すること。では、その宿題とはなんでしょうか?

  • 望ましい富士登山を考えること

    今後増えていく登山者に対して、現在の登山道、山小屋は、どれくらいの登山者数がふさわしいのか。しっかりとした調査・研究を行い、その結果によっては施設の改善も考えなくてはなりません。「登山者にとって、望ましい富士登山のあり方」のさらなる検討が求められています。

  • 文化的価値を、後世に確実に伝えること

    文化遺産として登録された富士山は、その価値をきちんと未来へ伝えていかなくてはなりません。明らかになってきた巡礼路と構成資産の関係をより明確にし、どのように世の中に発信したかの具体的な報告をする必要があります。

  • 富士山信仰の巡礼路を特定すること

    昔から「信仰の対象」でもあった富士山。しかし時代とともに、多くの巡礼路が使われなくなり、自動車道に変わったりして、巡礼路と霊地、神社との相互関係が分かりにくくなってしまいました。巡礼路と25の構成資産がどのようなつながりをもっていたのか。明らかになりつつある全体像のさらなる解明が求められています。

  • 登山道などの保全方法を示すこと

    信仰の山である富士山には、「登山道」「山小屋」「トラクター道」など、登山に必要な施設や道があります。それらが今後、どう調和し、補完し合うべきか、提示した保存方法がどうだったのか具体的な報告をしなくてはなりません。

  • 登山者の安全を守り、構成資産の保全を強化すること

    噴火、風水害、土砂災害、地震、火災など、さまざまな災害から、登山者をどう守るのか。そして構成資産をどう守っていくのか。提示した具体策の成果を提示する必要があります。

  • 開発と保全の調和を図ること

    保全だからと言って、すべてを禁止すればいいものでもありません。昔からそこで暮らす人々にも富士山は、大切な場所だから。文化的景観の保全と、規制の緩い場所での開発を、どう調整していくのか。提示した対応策の状況報告をしなくてはなりません。

  • 富士山を経過観察する体制を整えること

    今はしっかりと保全されていても、時間が経ては変わっていく。それが自然です。変わりゆく富士山の経過をきちんと観察するための対応策がきちんと行われているか報告しなくてはなりません。

本当に大切なことは、宿題の先にある。

富士山が目指すのは、宿題をクリアすることではありません。
「文化遺産として、美しい富士山を未来に引き継いでいくこと」。
イコモスが出した7つの宿題も、すべてはそのために必要なことなのです。
国民全体の理解も、保全のお金も、新しいルールも…。
今はまだ足りないことばかり。
私たち富士山会議は、静岡県や山梨県、企業などと連携して
「キッズスタディプログラム」「富嶽三十六プロジェクト」など、
文化的価値を啓蒙する活動を中心に進めています。
みなさまもぜひご参加ください。

supported by