私にとって旅の友はたいていが本。
読書と旅は切っても切れない関係だと思う。
列車の中、飛行機の中、絶えず本を読んで過ごす。
普段忙しくて、なかなか確保できない読書の時間も
旅の途中には一気に時間の余裕が生まれる。
この連休中も旅したのだが、駅前の大きな本屋で買った本がこれ。
「富士日記」武田百合子著。
この日記は、作家武田泰淳の妻である著者が
昭和40年代の武田一家の富士山(富士桜高原)での生活を
ひたすら書きつづったパーソナルなもの。
最近では日記の手法もブログやフェイスブックにかわっている。
しかしこの時代にここまでどうでもいい日常を描いた作品も珍しい。
そしてどうでもいい日常が、これほど面白いのもまた珍しいと思う。
文学にもいろいろなジャンルがあるが、日記文学なるものが存在するとしたら、
日本日記文学の頂点がこの作品だと思う。
いやそれほど面白く最高なのだ。
映画もそうだろうが、面白い作品に出会うと本当に得した気分になる。
それが映画に例えると偶然入った映画館で上映中の映画が最高だった感じ。
まさにこの本がそんな一冊。
上・中・下巻と、どの巻でもいいから
適当なページを開いて好きなところを読んだとしても面白い夫婦日記。
お勧めです。