ニュース

恒例 秋の夜長読書月間 その三

「火の山―山猿記」をこの夏に読んだ。
このタイトルにピンとこない人でも、2006年に本作を原案にしたNHK連続テレビ小説『純情きらり』と言えば「ああ、あの物語」という人も多いのでないだろうか?主人公の有森桜子を女優宮﨑あおいが演じ、話題になった作品だ。著者である津島佑子の祖父である石原初太郎は山梨県に住み、山梨の地質や動植物調査に携わった学者、この石原家が作品のモデルになっている。
「火の山」とは富士山を意味し、富士に寄り添い激動の時代を過ごした有森家5代の歴史を描いている。

津島佑子は、1947年作家・太宰治(本名・津島修治)の次女として生まれた。翌年6月、父である太宰は自死する。生前のインタビューでは「私にとって親は母だけ。なぜ太宰という父の子と言われるのだろう」と言った言葉も残している。そんな彼女は父と同じ職業に就く。そんな家族史がこの小説にも反映されている。2016年没。

火の山ー山猿記 上下巻
著者 津島佑子
講談社文庫刊

supported by