ラベル画:水平 譲氏【東京美術学校卒】
「芸術」は美術館や画集の中だけでなく、身近なところにも豊富にある、
という私の持論に沿って、そのようなアートをご紹介しよう。
「富士ミネラルウォーター社」のラベルである。
富士ミネラルウォーター社の歴史は、そのまま日本のミネラルウォーターの歴史と重なる。
1929年(昭和4年)創業の堀内合名会社が富士身延鉄道株式会社(現JR東海 身延線)所有の
山梨県下部(しもべ)で湧出する名水を利用し、販売を開始している。
日本初のミネラルウォーターの誕生である。
さらにこの年、富士山麓電気鉄道(現富士急行)が、大月~富士吉田間を開業。
これによって富士山が身近になり、現在の富士登山の大動脈ともなった。
奇しくも同年、東京と下関を結ぶ特急列車に鉄道省の公募により「富士」と「櫻」という名が付けられ、
「富士」の名前が一層脚光を浴びることになる。
まさに富士尽くしの年、このラベルで国産初の卓上水を売り始めた。
そんな富士ミネラルウォーター社のお宝ラベルを数回に渡り、紹介していくので、ぜひお楽しみに!