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秋の夜長富士山読書月間<その七>「まいにち富士山」 佐々木茂良 著

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タイトル まいにち富士山
著者 佐々木 茂良
発行 新潮社(2011年刊)

 


富士山好きにはいくつものパターンがある。
頂上を目指す「登り富士」、富士山をモデルに撮影する「撮り富士」、ひたすら眺めるのを愛す「愛で富士」。

私は住む横浜から富士山が見えると、自然と両手を合わせて拝んでしまう。
さしずめ「拝み富士」または「祈り富士」かも知れない。

さて、「登り富士」の方々にとって、究極の本が今年発行されたので紹介しよう。
「富士山に一度も登らぬ馬鹿、三度登る馬鹿」という有名な言葉もあるように、
とにかく富士山に登らねば気が済まない人は多い 。
この本の著者である佐々木茂良さんはきっと何度もこの「三度登る馬鹿」というセリフを周囲から浴びせられたに違いない。

著者は昭和15年生まれ、今年で71歳になる。
64歳で富士山に初登頂して以来、富士山にとりつかれてしまったらしく、「まいにち富士山」に登ることになる。
その回数は819回という。

毎日富士山に登るとは一体どういうペースで登っていらっしゃるのだろう?

本のページをめくる。
著者はおおよそ3時間を切るハイペースで登っているらしい。速すぎる!

しかし、この本は決して無謀な冒険記の類ではない。
毎日富士山に登るなどという無謀な挑戦をして、事故にでも遭った日には周囲に何と言われ、
迷惑をかけるか知れないと細心の注意力で臨んだ著者の「安全に行って帰るまで」を指南した登山記録なのだ。

高山病対策は? 迷ったときの対処法は?
そんな超人の知恵が満載の一冊、ぜひ「三度登りたい馬鹿(もちろん称賛です)」にお勧めしたい。

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