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恒例!秋の読書月間2015 その2「上田彦次郎ガラス乾板写真—昭和30年ごろの伊豆と富士山」

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上田彦次郎が写真を職業にしたのは大正時代。
熱海の観光業者から新趣向の絵はがきを作ってほしいと依頼を受け、
当時の川柳の第一人者・井上剣花坊(けんかぼう)の川柳と谷脇素文(そぶん)の 漫画に、
上田の撮影した写真を組み合わせて、川柳絵はがきを製作したのが始まり。
観光地で良く売れたそうだ。

富士山の撮影に一生を捧げた写真家岡田紅陽(こうよう)とも親交があり、
岡田紅陽が富士写真協会の分身として立ち上げた日本観光写真連盟の中心メンバーの一人としても活躍した。
その上田が、昭和20年代から30年代、伊豆地域を中心に撮影した
絵はがき製作用の風景写真を一冊にまとめたのがこの写真集。

タイトルにあるガラス乾板は、ガラスの板に感光乳剤を塗布し乾燥させたもので、
フィルムが一般化する前、明治から昭和にかけて普及していた手法。
今となってはそのフィルム自体が無くなりつつあるので隔世の感がある。
伊豆から見える富士山をモチーフにした作品は、時代が変わろうとも不変。
今もその景色の素晴らしさは全く色褪せることはない。


著者: 上田彦次郎   日本大学国際関係学部図書館/編
出版社: 静岡新聞社
価格: 1,728円(税込)

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