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夏休みの過ごし方 映画三昧 その三

巨匠黒澤映画ということもあるが、この映画を富士山映画に取り上げる人が知り合いに数人いる。
「こんな夢を見た」というテロップからはじまる。本作品「夢」は、知っての通り、八つの小さな「夢」から構成されている。

巨匠黒澤明監督が、自分が見た夢をもとに制作した晩年の作品だ。
その中の「赤富士」では、炎上する富士山が冒頭から登場。この映画全体の中心になっている。富士山自体の扱いは少し怖い気もするし、原子炉が爆発と言う冒頭や真っ赤になった富士山は溶けるように崩れていく映像は目を覆いたくなる。
あってはならない富士山噴火や現実になってしまった原子力問題がテーマになっているが、それでも巨匠の映像に引き込まれてしまうのは、やはり巨匠の為せる技に違いない。
この映画は未完であり、掛かりすぎる制作コストのために、惜しくも撮影されなかった幻の残り三作品がある
『飛ぶ』、『阿修羅』、そして最終話となるはずだった世界平和の話である『素晴らしい夢』が映画化されていないのが惜しまれる。

タイトル 夢
監督:黒澤明
出演:寺尾聰、倍賞美津子、原田美枝子、根岸季衣
制作:1990年

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