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富士山を観に行こう!第11弾 「浮世絵 太田記念美術館」(東京都)

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「没後150年記念 歌川国貞」特別展がまもなく開催される。
生涯に残した浮世絵が数万点と言われている浮世絵界のスーパースターが国貞である。

江戸時代末期より明治時代にかけ、欧米に膨大な数量の秀品が流出した。
今里帰りしているボストンの北斎などはその代表例になる。
そんな実情を嘆き、昭和の初めより半世紀以上に渡り浮世絵の蒐集に努めたのが、
この美術館の名前にもなっている五代太田清藏である。
五代太田清藏コレクションは、
浮世絵の初期から末期にいたるまでの代表作品を網羅していることで有名だが、
今回没後150年記念ということもあり、珠玉のコレクションから国貞をフォーカスしている。幕末の江戸で、国芳や広重を押さえて一番人気を誇った浮世絵師、
歌川国貞の没後150年を記念して開かれる回顧展は必見になる。
富士山そのものの構図ではなく、女性の背景に富士山を描くことを好んだ国貞。
江戸の町から観る富士山は、まさに富士山を主人公に描いているように私には映る。

ミュージアムデータ

浮世絵 太田記念美術館 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-10-10
TEL  03-3403-0880
お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
会期 2014年10月1日(水)〜11月24日(祝)

前期:10月1日~10月26日
後期:10月31日~11月24日※前期・後期で展示替え
詳しい案内 http://www.ukiyoe-ota-muse.jp

富士山を観に行こう!第10弾「静岡市東海道広重美術館」(静岡県)

satta_touge_utagawahiroshige.jpg歌川広重「薩埵峠」 satta_touge.jpgのサムネール画像
本人撮影

「江戸と明治の天才 広重×香山 – 世界が絶賛した浮世絵と幻のやきもの 」と題した展示が始まっている。

静岡市東海道広重美術館が20 周年を記念しての取り組みは、
所蔵品を代表する『木曾海道六拾九次之内』、
『東海道五拾三次之内』などの作品が展示されている。

美術館のある由比に位置する「薩埵峠」は、富士を望む景勝地としても特に有名で、
浮世絵が描かれた時代とほぼ同じ景色を望むことができる希有な場所として景勝マニアの心をくすぐる。
展示作品「薩埵峠」は『東海道五拾三次之内』の中で最も売れた一枚としても有名。美術館帰りにはぜひ、
この場所を訪ねて広重になった気分を味わって頂きたい。
ミュージアムデータ
静岡市東海道広重美術館 〒421-3103 静岡県静岡市清水区由比 297-1
TEL  054-375-4454
会期 2014年9月13日(土)~11月16日(日)
休館日 月曜日
詳しい案内 http://www.tokaido-hiroshige.jp

富士山を観に行こう!第9弾「東京富士美術館」(東京都)

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葛飾北斎の「冨嶽三十六景」と歌川広重の「東海道五十三次」。
言わずもがな浮世絵を代表する風景版画である。
浮世の風俗を題材に描くのでその名も「浮世絵」。
17世紀後半,菱川師宣(ひしかわもろのぶ)によって大成されたと言われている。
浮世絵の題材は遊里や芝居、相撲など町人階級の好んだ風俗が選ばれているのが特徴である。
この美術館が所蔵する浮世絵コレクションから30作家の約250点を、
前期・後期に分けて展観し、東西の浮世絵を一気に公開する。
葛飾北斎の「冨嶽三十六景」は前期に観ることができる。
JR東海の京都観光キャンペーンは
「そうだ 京都、行こう」だが、こちらも「そうだ 秋は富士山を観に行こう!」で富士山巡り。
ミュージアムデータ
東京富士美術館 〒192-0016 東京都八王子市谷野町492-1
本館・企画展示室1~4
TEL  042-691-4511
会期
前期:2014年12月6日(土) ~ 2015年2月1日(日)
後期:2015年2月5日(木)~2015年3月29日(日)
休館日 月曜日
公式ホームページ http://www.fujibi.or.jp/

富士山を観に行こう!第8弾「成川美術館」(神奈川県)

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この連載の主旨は「富士山を観に行こう!」として、富士山を題材にした作品を鑑賞する旅を続けている。
しかしこの美術館は、作品以外にまさに実物の富士山が見える、絶景美術館なのである。

 
約4,000点の収蔵作品の中には富士山を題材とした作品も多くあり、
今月からは「日本画の煌めき~富士を中心とした収蔵名作展~」と称した
富士山の名作が公開されている。
(9月17日(水)~12月16日(火))
 
そして富士山作品を鑑賞したら、
次は総長50mにも及ぶ一面ガラス張りの窓からは箱根・芦ノ湖越しに本物の富士山を眺めよう。
その姿はどんな名作にも負けない迫力で観る人を魅了するに違いない。
 
ミュージアムデータ
成川美術館 〒250-0522 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根570
TEL  0460-83-6828
開館時間 9:00~17:00
休館日 無休
公式ホームページ http://www.narukawamuseum.co.jp

富士山を観に行こう!第7弾「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」

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さて、いよいよ待ちに待った展覧会がやって来る。
名古屋、神戸、北九州と巡回してきた北斎が東京に到着する。

 
ボストン美術館の浮世絵作品は門外不出と言われ、
近年までほとんど公開されたことがなかった北斎がついに上野で観れるのである!!
私は既に神戸で見たが、とにかく圧巻である。まさに本物の北斎がそこにいた。
もちろん誰でも知っている「冨嶽三十六景」を始めとした珠玉の数々である。
 
ボストン美術館は、1870年、美術を愛好する市民たちの先導のもとに、
芸術作品の収集と保存、そして展示場所の創設という目的で設立された。
まさにアメリカを代表する美術館だ。
そのコレクションは、明治時代に来日したエドワード・S・モース(1838-1925)、
アーネスト・F・フェノロサ(1853-1908)、
ウィリアム・S・ビゲロー(1850-1926)達が蒐集した個人コレクションが中心となって形成されている。
 
大衆作家という立ち位置で日本では軽く見られていた北斎の価値を
最初に認めたのがアメリカだったのは何とも皮肉だが、
この際、そんな些細なことは忘れ北斎を堪能しよう。
もしかしたらこれが最後のチャンスかもしれない。ぜひこの秋は上野に行きましょう!
 
日程 2014年09月13日(土) ~ 2014年11月09日(日)
公式ホームページ http://ukiyoe.exhn.jp/

富士山を観に行こう!第6弾 國學院大学特別展

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9月に始まったばかりの展示に足を運んだ。

國學院だけあって、信仰の切り口から富士山を捉えている。
その信仰の歴史から現在まで脈々と生き続ける富士信仰について紹介している。
 
美しい山である富士山のもう一つの顔は言うまでもなく、信仰される山である。
なぜ故に、こんなにも参詣者が絶えないのかを知る資料が満載であり、
目と頭をフルに使って富士を知ることができる。
会期も長いのでぜひ秋の日の一日を目一杯使って
富士山の勉強に出かけてみてはいかがだろう?
 

主な展示構成
第1章:富士山の噴火と火山祭祀の源流
第2章:富士の神から浅間菩薩へ
第3章:信仰の大衆化と富士講の展開
第4章:富士山をめぐる文学と芸術
終 章:不二之山

 
ミュージアムデータ
会 期 平成26(2014)年9月1日(月)~10月11日(土)
会 場 國學院大學博物館 企画展示室
開館時間 10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日
土曜日(9月27日以降は土曜日も開館)・日曜日 
※9月6日(土)と9月15日(月・祝)は開館
観覧料金 無料
公式サイト http://www.kokugakuin.ac.jp/

富士山を観に行こう!第5弾「フジヤマミュージアム」(山梨県)

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その外観も素晴らしいミュージアムです。

富士山を観に行こう!
と掛け声をかけてこの美術館を外すわけにはいかない。
その名もフジヤマミュージアムである。

オープンが平成15年とまだ歴史が浅いにも関わらず
作品群が素晴らしいのはさずがである。
 
常設展はもちろんだが、現在「富士の彩り」と題した企画展を開催中
(2014年7月19日(土)~11月16日(日))なので
この機会にぜひ名作を観て頂きたい。
内容はタイトルの通り「彩」ということで富士を彩る〈色〉に注目して展示をしている。
季節毎に彩りを変えて私たちの目を愉しませてくれる。
 
そしてその展示品に東山魁夷の「朝爽」が入っているのも嬉しい。
このシリーズの第3弾でも述べたが、魁夷先生の富士山作品は実は少ないのである。
その貴重な作品を観ることができるのである。
幸いにも展示期間まだまだ長い、ぜひ富士山を観るには欠かせない大本命、
フジヤマミュージアムにお出かけください。
 
ミュージアムデータ
フジヤマミュージアム
〒403-0017 山梨県富士吉田市新西原5-6-1
(ハイランドリゾートホテル&スパ/リサとガスパールタウン隣接)
開館時間 季節により異なりますのでホームページでご確認ください。
公式サイト http://www.fujiyama-museum.com/about.html

富士山を観に行こう!第4弾 静岡県立美術館(静岡県)

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美術館展示のロダン(ここは撮影が許可されておりました)

静岡県の風景といえば、やはり富士山。
そしてその富士山の作品を数多く収蔵するのはこちら静岡県立美術館。

 
その収蔵品が凄い。
日本画では、式部輝忠、狩野探幽、谷文晁、歌川広重、横山大観、東山魁夷などの作品の他、
富士信仰の中で生まれた『富士参詣曼荼羅図』や『伊勢物語』第九段の『東下り』に登場する
宇津の山を描いた山本探川の『宇津の山図』などの作品はまさに圧巻。
富士山のための美術館と言っても過言ではない。
 
その中でも東山魁夷の富士山を観た際の感動は忘れない。
著作権の関係でここには絵画の画像は添付することはできないが、
金泥の落ち着いた輝きの中、逆光で陰になった富士山の姿が浮かび上がる
美しい富士山はまさに日本の宝の山という表現がぴったりくる。
 
しかしその東山画伯、風景画の大家だが、実は富士山の作品は少ない。
富士山のおひざ元静岡県が誇る日本の名宝の数々をぜひ直接ご覧ください。

 
ミュージアムデータ
静岡県立美術館 〒422-8002 静岡市駿河区谷田53-2
開館時間 10:00〜17:30(休館日はホームページでご確認ください)
公式サイト http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/

富士山を観に行こう!第3弾「茨城県近代美術館」(茨城県)

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片岡球子画集(現在は絶版)

日本画家、片岡球子さんが亡くなった2008年。

たまたま立ち寄った茨城県近代美術館で片岡さんの生の作品を観ることができた。
 
直に観る富士山は踊るように目に映った。
どのように富士山を観るとこんな絵になるんだろうと、
その後片岡さんの作品集を購入し、彼女の歴史を探った。
 
型破りな構成、大胆な色使いなどにより、
当初は「 ゲテモノ」とも評されたらしい『 富士山 』 シリーズは、なんと60歳を過ぎてからの創作だそうだ。
年を重ね彼女は、若いころ酷評され抑圧された何かが弾けたのかも知れない
なんて思いながら作品集のページをめくった。
 
永遠のエネルギーを手にした気骨ある明治生まれの最後の女性画家は
最後までその情熱を失わなかったとある。
「私の絵を見たら息が詰まるというような、そういう迫力の絵を描きたい 」と
生前彼女は語ったそうだ、
私もこの春の富士山を観て息が詰まってしまった。
 
ミュージアムデータ
茨城県近代美術館 〒310-0851 茨城県水戸市千波町東久保666-1
開館時間 9時30分~午後5時(休館日はホームページでご確認ください)
公式サイト http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/

富士山を観に行こう!第2弾 MOA美術館(静岡県)

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富士山と言えば赤富士を思い起こす人も多いはずだ。

そのぐらい日本人の瞼には朝日に染まる富士山の姿が焼き付いている。
いやもしかしたら実際に朝日に染まる富士を観たこともない人もしかり、
この赤富士は日本人の心の原風景なのかもしれない。
 
葛飾北斎(1760~1849)は、本格的な風景版画を創造した画家として知られる。
「富嶽三十六景」の中の一枚である「凱風快晴(がいふうかいせい)」はその代表作として知られ、
「赤富士」の名で親しまれているのだ。その赤富士はMOA美術館で観ることができる。
 
私は数年前までこの赤富士は夕焼けに染まると疑っていなかった。
恥ずかしい話だが、この美術館を訪ね展示作品を観て、
これが晴れやかな早朝の富士を描いたものだと知った次第である。
私の無知ぶりはどうでもいいが、この赤富士の素晴らしさは、いくら言葉を重ねても足りない。
 
美術館の創始者である岡田茂吉に因み、
Mokichi Okada Associationの頭文字を冠したMOA美術館からも、
晴れた日には富士が良く見える。ぜひ一度足をお運びください。

 
ミュージアムデータ
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MOA美術館
MOA MUSEUM OF ART
静岡県熱海市桃山町26-2
開館時間 9時30分~16時30分(毎週木曜日休館)
公式サイト http://www.moaart.or.jp/

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